【special interview】コラージュ作家 井上陽子さん × kuppography

special interview

コラージュ作家 井上陽子さん × kuppography

インテリアショップIDÉEでの個展や代官山蔦屋書店での出版イベント、スターバックスを始めとするメーカーとのコラボレーションなど、多方面でご活躍中の人気コラージュ作家 井上陽子さん。

大胆さと繊細さをあわせもつ独特の世界観で人々を魅了し続ける井上さんと、念願のコラボレーションが実現し、クッポグラフィーのオリジナル七五三着物を手がけていただきました。

今回は、カラフルな大柄をあしらったデザインが印象的なオリジナル着物の制作秘話や、これから七五三を迎えるお子さまへのメッセージを伺いました。

デザインのインスピレーションは、旅先で出会った壁や階段、そしてタイル

Q:デザインのインスピレーションを教えてください。

井上さん:いくつかありますが、その1つが旅先で見つけた壁や窓、階段、普通の人が暮らす場所や路地です。(ポストカードを見せながら)ここにあるのは、作品集『Ca va , ca vient』にも掲載しているんですが、世界各地の街中で撮影した写真なんです。パンデミック前は、年に1〜2回は海外に行って、積極的にインプットの機会を作っていました。 


Q:特に好きな国や街はありますか? 

壁が美しい街が好きなんですが、中でもチュニジアがお気に入りです。フランスとイスラムの文化が混ざり合っていて、程よい混沌感と美しさが共存しているんです。壁もきれいに塗り替えられていないけど、街として魅力があって、また機会があれば行ってみたい場所の一つです。

自然や江戸時代の作品も大好き

Q:海外旅行に行けない時期が続いていますが、日本ではどのようなモノやコトにインスピレーションを得ていますか?

建物だけじゃなくて、植物や公園とか自然も大好きなんです。それもあって、大きな公園沿いにアトリエを構えました。あと、「尾形光琳さんや琳派」が好きで、画集などを見たりしています。


Q:井上さんのデザインはモダンなので、江戸時代の作品がインスピレーションの一部になっているのは意外でした。そういったインスピレーションをどうやってデザインに落とし込んでいるんですか?

インスピレーション元をそのままデザインに落とし込んでいるわけではなくて、アイデアスケッチ(ネタ帳)を見ながら、こんなもの作りたいなと作品に広げていってるんです。

子どもたちが笑顔になる着物づくり

Q:今回デザインいただいた七五三着物への思いを教えてください。

普段は暗い色を使用することもありますが、今回は七五三ということで子どもたちも親御さんも着るだけで楽しくなるようなデザインを心がけました。

あと、やっぱり平面の作品と着物って違うんです。コラージュは余白を意識してデザインするのに対して、着物は柄を繰り返して使うので、仕上がりとして美しく見えるよう考えながらデザインしなければいけないんです。いつもとは違うことへの挑戦ということで、私自身その過程も楽しめました。

Q:一番のお気に入りはどちらの着物ですか?

5歳男の子の着物です。どこにどのように柄が出るかまで考えていなかったのです、きれいに割り振ってあって、柄が活かされてるなと感じました。

Q:これから七五三を迎える方にメッセージをお願いします。

私のデザインした着物を選ぶ必要はないんですけど、お子さんには自分で好きな着物を選んで欲しいなと思います。自分でチョイスするって大切なことだと思います。小さいころから、自分なりの好きを追及して軸を持って、アイデンティティを形成していって欲しいなと思います。

profile

コラージュ作家、井上陽子(いのうえようこ)​

京都造形芸術大学卒業。​

著書に『コラージュのおくりもの』(パイ・インターナショナル)​

『コラージュ図案帖』『写真と紙でつくるコラージュ』(雷鳥社)他​

http://www.craft-log.com/ 

 

『Ça va , ça vient』 
(主婦の友社)

YOKO INOUE Works 2011 – 2021

井上陽子さん10年ぶりの作品集、
近年のコラージュ、ドローイング作品、旅写真150点を掲載。