星:実はクッポグラフィーでは、ピンク色の着物というのは珍しくて。ピンクを好むお子さまが多い中で、スタジオや写真の雰囲気との相性を考えると難しい色でした。従来の着物に使われているようなピンクは、華やかすぎて浮いてしまう傾向もあって。一方で、淡い色だとスタジオの空間に溶け込んでしまいすぎたりも。
でも、ムラタさんのデザインのおかげで、ちょうどいいバランスのピンクの着物を取り入れることができました。所々の緑色が良いアクセントにもなって引き締まります。可愛らしすぎない落ち着きもある色なので、7歳の女の子にも気に入っていただけるのかなと思っています。
ーー特にこだわった部分はありますか。
ムラタさん:やっぱりこの手描き感はかなり大事にしていて。絵の具を使って描いたのですが、筆のタッチの“かすれ具合”であったり線の揺らぎであったり。手を動かして描いたからこそできるものは、敢えてそのままを大事に残して、それを生かしたカラーリングにしました。
ーーー生地になっても手書きの感じが伝わりますね。
星:手描きの良さは大事に残したいと思ったんですよね。温かみが増すので。
ムラタさん:そうなんですよね。私の作品の表現方法として、手仕事の温かさも伝えたいと思っていて。
ーー制作で苦労された部分はありますか?
ムラタさん:苦労はなかったのですが、実は一番最初のラフ案は子ども向けをかなり意識したデザインでした。可愛らしくすることに寄すぎたデザインだったこともあって、クッポグラフィーの皆さんから、私が大切にしているコンセプトのまま描いてほしいとフィードバックをいただいたんですよね。
星:せっかくコラボする機会に恵まれたので、ムラタさんらしいデザインをそのまま活かしたいと思っていたんです。改めて今の原画をいただいて、素晴らしいデザインに感動して。あまりに素敵なデザインだったので、着物の形にするために絵をカットすることに罪悪感が出てしまったりも。
ムラタさん:そうだったんですね。どこをカットしても大丈夫なように、余白も考えて描いたので心配しなくて大丈夫ですよ(笑)
星:それを聞いてちょっと安心しました。
ムラタさん:大学時代に絵画の勉強をしてきた経験もあって、1枚の絵を着ているような感覚になってくださると面白いかなと思ってデザインしました。模様と絵の中間のような。今回も、生地幅いっぱいになるように描いたので、どの部分が出ていてもいいように計算をして作っていますし、信頼してお任せしています。
星:よかった…。ありがとうございます。